
肥満症はそれ自体が命に関わる病気という訳ではありませんが、現代人が抱える生活
習慣病と深い関わりがあります。高血圧、糖尿病、高脂血症などは肥満体型の方に発
症しやすいと言われています。これらの生活習慣病を根本的に治療するには体重をコ
ントロールしてダイエットしていく治療方法が最も効果的です。
また、女性の方の漢方ダイエットの相談も最近増えてきています。皆さん、マイク
ロダイエットやリセットダイエットなどの数々のダイエット方法を試したがなかなか
成功しない、という方達が漢方でもう一度チャレンジするケースが多いです。
一言に漢方薬でダイエットと言っても治療の仕方は患者様により大きく異なりま
す。東洋医学的所見で診断し、その方の肥満体質を少しずつ改善してダイエットを成
功させます。
<漢方のお話>
肥満症の場合、食事療法と運動療法が中心となります。
そして、それらの効果を後押しする形で漢方薬はとても有効となります。
肥満タイプも、ガッチリした体質(リンゴ型肥満・体力があるタイプ)なのか水太り
した体質(洋ナシ型肥満・体力が無いタイプ)なのかで使用する漢方薬は大きく変
わってきます。
体力が有る人はマオウ・ダイオウなどの代謝を活性化する生薬を含む漢方薬を積極的
に用います。
体力が無い人はブクリョウ・タクシャ・ビャクジュツなど水分の偏りと代謝を改善す
る生薬を含む漢方薬を用います。両者とも新陳代謝を促進することで食事療法と運動
療法の効果を上げる点においては共通しています。他にも肥満症の方は高血圧や高血
糖そして高コレステロール値の場合が多いのでそれらも考慮して漢方薬が調合されま
す。
りんご型肥満(脂肪肥満タイプ)
このタイプは欧米食や甘い物、辛い物などを食べ過ぎて、内臓に老廃物がたまり代謝
が追いつかない状態です。漢方医学では湿熱型、血型と考えています。つまり湿熱や
オ血という老廃物が体内に溜まっている状態ですので、大便や尿、汗などから老廃物
を排泄することを中心に考えます。
洋ナシ型肥満(水太りタイプ)
このタイプは冷えて代謝が低下している状態です。それほど食べ過ぎてはいないの
に、下半身、太ももを中心に太っています。場合によってはむくみに近い状態で、
「水を飲んでも太る」といわれるタイプです。漢方医学では気虚型、痰湿型と考えて
います。気の不足により冷えて代謝が低下し、痰湿(水毒)が溜まっている状態です
ので、体を温めて代謝を活発にすることを中心に考えます。
痛風とは高尿酸血症による尿酸塩結晶沈着のため急性関節炎発作、腎障害などを起こす疾患です。
中年男子に好発し、日本では成人男子の有病率は約1.2%といわれています。発症には遺伝因子と環境因子の両方が関与していると考えられています。尿酸は核酸の構成物質であるプリン塩基の代謝産物として産生されます。尿酸の産生と排出の均衡が保てなくなり血清尿酸値が上昇した病態を高尿酸血症といいます。
痛風と漢方薬
痛風の場合、食生活の改善(特に尿酸を多く含む食品・飲料を控える)と漢方薬を組
み合わせると効果的です。症状も患部(特に手足の指先の関節など)に強い熱感を感
じる方や痛みが強い方、そして関節が膨れ上がってしまっている方など多岐に渡るた
め漢方の治療方法もそれぞれ異なってきます。
痛風の方の特徴としては比較的、体力がある方が多いのでマオウ・ダイオウなどの
新陳代謝を活性化する生薬を含む漢方薬を積極的に用います。それ以外でも血流を改
善するセンキュウ、トウニン、ケイヒや皮膚の熱感を取り去るセッコウなどを症状に
合わせて用います。
甲状腺は気管前半部を囲むように位置する内分泌腺最大の臓器です。正常な甲状腺は柔らかく通常は外部から触れません。しかし甲状腺が大きく腫れたり硬くなると外部から触れるようになります。
この甲状腺から分泌される血中甲状腺ホルモンの量が何らかの原因で増加したために起こるのが甲状腺機能亢進症です。代表的疾患であるバセドウ病のほかに、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎などがあります。
甲状腺機能低下症には、慢性甲状腺炎、橋本病があります。病因として自己免疫疾患(自分の体の組織成分に対して抗体がつくられることによって起きる疾患)と考えられています。


糖尿病とは・・・
私たちの体の中では、糖分をとったときには、膵臓から出されるインスリンというホルモンによって、エネルギーにしていきます。けれども、なにかの原因によってインスリンが充分に出てこないとエネルギーにならなく、血液中に糖分が増えてしまいます。
このように、慢性的にインスリンの働きが不充分であって、糖利用がうまくいかない状態を糖尿病といいます。
理想的には、空腹時の血糖が 100mg/dl 、ヘモグロビンA1cが 5.8%以下といわれています。
膵臓から分泌されるインスリンですが、インスリンを自分でつくることができない
か、つくれても僅かなタイプを Ⅰ型糖尿病、インスリンをつくれるけど正常に分泌
できないなどのタイプを Ⅱ型糖尿病といいます。
Ⅰ型の場合はインスリンの注射が必要になる場合があります。
肥満と インスリン抵抗性
食事で摂ったカロリーは体内でエネルギーとして燃焼していきます。それで人は体
を動かせるわけです。膵臓から分泌されるインスリンというホルモンは、食事で摂っ
た糖分を筋肉や肝臓などの細胞に取り込んで、エネルギーにしていきます。しかし、
インスリンの働きが悪くなると、糖分は細胞に取り込まれず、血中にたまってしまい
ます。それが高血糖です。
高血糖の原因は、膵臓から分泌されるべきインスリンが必要なだけ分泌されてない
場合がありますが、それだけでなく、インスリンは分泌されているにもかかわらず、
そのインスリンの働きが悪い (インスリンの受け皿の感受性が悪かったり、筋肉な
ど全身の細胞への糖の取り込みが悪かったり)ことが、近年、特に重要視されており
ます。それが「インスリン抵抗性」です。
肥満はインスリン抵抗性と深く関係していることが分かってきております。
こんな症状が特徴
のどが渇いて水をたくさん飲む、いくら食べてもすぐ空腹になる、疲れやすい、
おっしこの回数が多い、といったことがよくみられます。
怖いのは・・・ 合併症
糖尿病が怖いといわれるのは、合併症であったり、ほかの病気を引き起こしていく
原因になるからです。
よくいわれる合併症は、神経障害によっておこる、しびれ・疼痛・マヒなどや、細
小血管症によっておこる、網膜症・眼底出血・腎症・尿毒症などがあげられますが、
ひどくなると目においては失明になってしまったり、腎臓においては透析することに
もなります。
そのほかにも動脈硬化になりやすく、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすこともありま
すので、糖尿病は早いうちに適切な治療をしていくことが大事です。
では、どうするの? 治るの?
糖尿病にならないように、普段から気をつけることは大事ですが、それでもなって
しまったら、ではどうしたらいいのでしょうか。
糖尿病については多くの先生方による長年の研究から、今では様々なことがわかっ
てきました。
けれども糖尿病を治すといった治療法はないのが現実です。
ですから大切なのは、血糖値が高くならないように上手にコントロールしていくこ
とです。
早期であれば、食事療法や運動療法でいいこともあります。
あとは糖尿病のタイプによって、経口薬や注射を使っていきます。
糖尿病の漢方治療
漢方薬において糖尿病の適応となるのは主にⅡ型糖尿病(生活習慣に基づいて発症す
るタイプの糖尿病)です。この場合、食事療法・運動療法と併用する形で漢方薬を用
いると効果的です。
ついつい目先の血糖値やヘモグロビンA1C値に一喜一憂しがちですが、中長期的な治
療をしっかり行うことで徐々に効果が現れるのが糖尿病の特徴です。糖尿病が進行す
ると血管の柔軟性が低下し、血行が悪くなり手足など末梢の冷えや痺れ、網膜障害に
よる視力の低下が起こります。
これに対してはボタンピ・トウニン・センキュウ・ケイヒ・ブシなどの血行改善作
用を持つ生薬が用いられます。喉の渇きや頻尿に対してはニンジン・バクモンドウ・
コウベイなど潤いを付ける生薬が用いられます。
糖尿病治療の中心になる生薬は滋養強壮作用と血糖効果作用も報告されているジオウ
を含む漢方薬(ジオウ剤とも呼ばれます)です。このジオウ剤に患者さんそれぞれの
症状にあった生薬を組み合わせることで漢方薬を調合します。