2025.08.20
【漢方薬の症例紹介】しゃっくり(吃逆・きつぎゃく)

今回はしゃっくりの症例についてご紹介します。

 

80代 男性

【主訴】しゃっくり

 

【背景】

本人は寝たきりで来局できる状態でなく家族が相談に。

はっきりとした原因はないが

器質的(脳神経障害)変化による影響を受けた

強いしゃっくりである可能性が高い。

一度、しゃっくりし始めると

痙攣性の発作のような強いしゃっくりが続く。

 

既往歴にくも膜下出血。

 

かかりつけの病院では

柿蔕湯、呉茱萸湯が処方されて、服用するも無効。

漢方薬が無効だったため

抗不安薬が処方された。

服用するとしゃっくりは止まるが

副作用による影響で1日中寝てばかりの日が続く。

抗不安薬の服用を止めるとしゃっくりがでてくる。

薬で一時的に止められているが

このまま抗不安薬を飲み続けては寝たきり状態になるので

厳しい状況である。根本的に治療して抗不安薬の使用

を最小限にしていきたいとの要望。

 

食欲はほとんどなく、気力なし、やせ型、冷え性⇒虚弱体質

 

併用薬:抗血栓薬

 

【弁証・治法】

弁証:【肝脾不和】

治法:【補脾、理気疏泄】

⇒問診内容を総合して判断すると寒証・虚弱・アトニーを背景にしながら

肝脾不和が影響し

疏泄に滞りが生じて気が逆流している状態(気逆)である。

無効であった漢方薬の内容から考えても

疏泄を未だおこなっておらず、理論的に新しいアプローチの治法である。

 

【経過】

一ヶ月後:毎日服用できている。

しかし、しゃっくりは続いている。

どうしても、今あるしゃっくりを止めたい。

痙攣性なので本人も辛い。

⇒頓服薬として「半夏瀉心湯」を処方。

発作時に抗不安薬を使用することは重要である。

横隔膜周囲の筋肉を傷める可能性があり

また、発作的に繰り返すので精神的にも辛い症状である。

抗不安薬の使用を躊躇わないよう説明。

 

二ヶ月後:しゃっくり続いている。

しゃっくりの頻度が減っていない。

頓服の半夏瀉心湯についても効果を中々、実感できない。

抗不安薬を飲まざるをえないので

1日中、寝てしまっている。

⇒呉茱萸処方。併用を指示

理論的にも陽虚(陽が不足し冷えている状態)であり

温めることで脾を整えながら気血の流れを促す

呉茱萸湯は正しい処方である。

漢方薬の併用による相乗効果を期待する。

患者には根気強く服用を続けていくことを説明。

 

三ヶ月後:突然しゃっくりが止まる。

また、抗不安薬を中止してもしゃっくりは再発しない。

本人の意識も明確になり、適度にリラックスした状態である。

 

【総評】

このように症状的ではなく体質改善的に

漢方薬を使用することで根本から治療できた良い例になります。

厳しい状況でしたが、養生や治療を続けた成果があらわれています。

抗不安薬や漢方薬の服用や日頃のケア等

ご家族のケアも適切だったことも幸いしています。

 

著者:渡邉翔

 

自分で症状や体質に合った漢方薬を選ぶのが難しい方、

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