2018.08.16
第1回 黄連解毒湯

今回から定期的に漢方薬について解説する記事を載せていきます。

是非ご一読下さい。

 

第1回は黄連解毒湯についてご紹介します。

 

1. 黄連解毒湯はどんな処方?

1-1.生薬構成
1-2.効能・効果

 

2. 黄連解毒湯はどんな体質の人に使うの?

 

3. 黄連解毒湯がよく使われる疾患は?

3-1.皮膚系疾患
3-2.精神神経系疾患
3-3.消化器系疾患
3-4.循環器系疾患

 

1. 黄連解毒湯はどんな処方?
1-1.生薬構成
黄連(おうれん)、黄芩(おうごん)、黄柏(おうばく)、山梔子(さんしし)

黄連はキンポウゲ科オウレンの根茎で、味は苦く、解熱・消炎・健胃作用があります。
根は珠を連ねたように短く節くれ、折ると断面が濃黄色のため、黄連の名があります。
漢方というと中国産の生薬を使うイメージがありますが、江戸時代に日本の野生種の
オウレンが中国などに輸出されたとの記録があり、良質として知られていたそうです。

黄芩はシソ科コガネバナの根で、味は苦く、解熱・消炎・止血作用があります。
コガネバナは葉が狭いのでコガネヨモギともいいますが、コガネとは根が黄色いこと
を指すもので、花は紫紅色です。柴胡と組んで胸脇苦満に、黄連と組んで心下痞(みぞ
おちのつかえ)に用いられます。

黄柏はミカン科キハダの樹皮で、これも味が苦く、解熱・消炎・健胃作用があります。
キハダという名は樹皮を剥ぐと内側が黄色いことを表しており、内皮は古くから黄色
染料としても用いられていました。民間では黄柏末を酢でねって湿疹や打撲傷などの
外用薬としても用います。

山梔子はアカネ科クチナシの果実で、味は苦く、解熱・消炎・利胆・止血の作用があり、
黄疸の要薬でもあります。果実が秋を過ぎても口を開けないことから「口無し」と呼ば
れ、実の形が「梔」という底の丸い酒杯に似ているため梔子の名前があるといわれてい
ますが、「山梔子」という名前の由来には諸説あります。クチナシは飛鳥時代から黄色
染料として知られ、無毒のためにきんとんや沢庵漬けなど食品を染めるものにも用い
られています。

1-2.効能・効果
体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色が赤く、いらいらして落ち着きがない傾向のある
ものの次の諸症:
鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎

 

2. 黄連解毒湯はどんな体質の人に使うの?
「裏実熱証」に対して用います。
すなわち熱感あるいは悪熱・発汗・口渇多飲・冷たい飲み物を欲しがる・顔面紅潮・口臭・輾転反側(悩みや心配のため眠れず、なんども寝返りを打つこと)・尿が濃い・硬い便あるいは便秘・舌質が紅・舌苔は黄色~褐色で乾燥・脈は数あるいは洪大、はなはだしい場合は出血・意識障害がみられます。
全身的あるいは内臓の炎症で軽度の脱水をともなう症候と考えられます。

裏熱証の治法は「清熱瀉火解毒」で、消炎・解毒・抗菌・鎮静などの効果がある石膏・知母・黄連・黄芩・山梔子・竜胆・連翹・板藍根などの清熱薬を用います。
便秘をともなう場合には、大黄・芒硝などの瀉下薬と枳実・厚朴などの利気薬を配合して蠕動を高めて瀉下します。

 

3. 黄連解毒湯がよく使われる疾患は?
3-1.皮膚系疾患
一般に構成生薬が少ないほど切れ味が良い傾向にありますが、黄連解毒湯は抗炎症作用を期待する場合の第一選択薬であるといって過言ではないとも言われています。
患部の赤みが強く熱感がある場合、あるいはのぼせや顔面紅潮、イライラしやすい傾向がみられる場合は黄連解毒湯を用いるのがよい可能性があります。
ただし、黄連解毒湯は漢方的に考えると湿を乾かす作用があるとされるため、皮膚あるいは皮疹が極端にカサカサしている場合には適さないこともあるので、注意が必要です。

3-2.精神神経系疾患
血色がよく、のぼせ気味で、気分がいらいらして落ちつかず興奮しやすい患者の不眠に用います。とくに高血圧症、更年期障害などの時に見られる不眠に用いる機会があります。
また、のぼせ症の人でめまいをともなう場合に用います。脳充血、高血圧、更年期障害などの時に見られるめまいに用いる機会があります。そのようなときは、顔が赤みを帯び、気分がイライラして落ちつかず、ときに不眠をともなうこともあります。

3-3.出血性疾患
鼻血が出やすいとき、のぼせやすく、顔面紅潮して、心気不安、イライラし、感情の興奮しやすいものに用います。このとき動脈硬化症、脳充血などの場合にしばしば用いられます。
また、高血圧による眼底出血で、のぼせて顔面紅潮し、気分落ちつかず、興奮状を呈している場合に用いることがあります。
その他、胃潰瘍・十二指腸潰瘍であまり激しくない胃痛をともなう出血に、止血の目的で用いることもあります。

3-4.循環器系疾患
高血圧のとき、上気して、顔が赤く、のぼせ症で、気分がイライラして落ちつかず、鼻血が出たり、眼底出血を起こしたりするものによいとされます。また頭痛、めまい、耳鳴り、不眠なども目標となります。漢方の治療では、血圧が高いからといって、血圧を下げる薬を用いるのではなく、まず全身の調和を整える(黄連解毒湯の場合は、過剰になってしまった熱を冷ます)ことを主眼とします。

 

上記の症状でお悩みの方はぜひお試しください。

 

ここに記載されていることはあくまで一例となりますので、ご注意ください。

 

自分で症状や体質に合った漢方薬を選ぶのが難しい方、

体質改善や自然治癒力の向上といった

日頃の健康維持目的で取り入れたい方など

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