2022.03.23
【論文解説】漢方薬の効果 糖尿病

昨今、漢方薬の臨床研究が盛んにすすめられています

漢方薬はその特性上(多成分系、証という独特の診断法をとる)のため臨床研究は難航を極めます

しかし、西洋医学での漢方薬の処方増加にともない臨床研究による統計学的手法を使った効果の立証が急務となっております

本日は「牛車腎気丸」の糖尿病に対する臨床研究についてご紹介します

【試験参加者】

40-75 歳で HbA1c 6.5 %以上の 2 型糖尿病

重篤な既往歴を持っていない

牛車腎気丸の使用に適した体質をお持ちの方

人数 149 名

内服する漢方薬

牛車腎気丸 1 回 2.5 g を 1 日 3 回内服

結果

牛車腎気丸は糖尿病患者の神経障害の診断方法の一つであるアキレス腱

反射の悪化を抑制する

〈黒色〉牛車腎気丸を服用した場合。

〈灰色〉服用なしの場合

縦軸:アキレス腱反射が悪化した人の割合(%)

横軸:時間(月)

※神経障害が生じるとアキレス腱反射の減弱・消失がみられるので

神経障害のある程度の判断基準として使われることが多いです

 

 

上の図からお分かりのように牛車腎気丸は糖尿病で合併しやすい神経障害の

診断方法の一つであるアキレス腱反射の悪化を抑制することがわかりました

特筆すべきは服用期間が伸びる程、その差はより顕著になっていることです

長期的な牛車腎気丸の服用はHbA1cを低下させ

〈黒色〉牛車腎気丸を服用した場合

〈灰色〉服用なしの場合

縦軸:HbA1c(%)

横軸:時間(月)

※HbA1cは過去2-3ヶ月の血糖調節を示す値です

 

牛車腎気丸の効果は服用から4年と半年後に効果に関して有意差がついております

これは驚くべきことで

古来より牛車腎気丸のような東洋医学的に「腎」を補う漢方薬は根気強い治療と服用が必要で、

その効果は、徐々に身体になじんでいき後から薬効としてでてくるといわれてきました

今までも、患者様にお伝えしてきたことですが

このような臨床試験という形でも漢方薬の効果が科学的に立証されたことは一人の漢方家として、

とても感慨深いです

糖尿病疾患をお持ちで牛車腎気丸の使用が目標となる方の治療方針として

「西洋医学は即効性のある薬として病状の進行、合併症予防」

「東洋医学は遅効性の根本治療薬、合併症予防薬」

として併用することで、より良い治療に繋がる可能性が示唆されたのではないでしょうか

 

参考文献:Watanabe K, Shimada A, Miyaki K, et al. Long-term effects of goshajinkigan in prevention

of diabetic complications: A randomized open-labeled clinical trial. Evidence-Based Complementary

and Alternative Medicine 2014: 1-8. doi: 10.1155/2014/128726. CENTRAL ID: CN-00993596, Pubmed ID: 24812564

自分で症状や体質に合った漢方薬を選ぶのが難しい方、 体質改善や自然治癒力の向上といった

日頃の健康維持目的で取り入れたい方など ぜひ一度ご相談くださいませ。

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