2025.07.16
【症例紹介】放射線性膀胱炎(再発性)

80代 女性

 

【主訴】

放射線膀胱炎(再発)

 

【背景】

20年程前、膀胱がんの治療で放射線治療をおこなった。

治療時に一度だけ、副作用の膀胱炎を経験したがすぐに完治。

幸いにしてガンについても完治し

以来、膀胱炎を再発することはなかった。

 

一ヶ月前から膀胱炎を再発。

急激な出血で止血剤内服開始も

出血は止まらず以後、持続的に出血する。

一週間後に貧血の症状(めまい、たちくらみ)

が頻発し、3日に1回の輸血をおこなっている。

貧血の基準となる血中ヘモグロビンは基準値の半分量

 

主治医の見解では過去の放射線治療による

影響ではないかとのことだった。

 

顔は青白く、身体は痩せ型。虚弱体質。

胃腸弱く食欲はあるが少ししか食べられない。

すぐにもたれる。冷え性。

舌は痩せて細く白苔。怒張なし。

尿は薄黄色で尿回数は1日6-7回。夜間尿2回

 

【処方】

「補腎剤合補血剤加味止血剤」

※処方されている止血剤との併用。

 

・補腎剤にて放射線治療で傷ついた泌尿器系の

細胞活性を高めることで泌尿器を含む身体抵抗力、免疫力を高める。

・止血剤にて貧血症状の原因となる出血を抑えつつ

補血剤にて放射線障害によって影響を受けている

だろう血液の質を高めると同時に造血を促す。

 

【経過】

一ヶ月後:服用5日で完全に出血が止まる。貧血症状はいまだにある。

二ヶ月後:出血なく引き続き安定している。貧血症状変わりなくある。

三ヶ月後:風邪をひいて一時、体調崩すも出血はない。

貧血の症状である、めまいやたちくらみはほとんどない。

血液検査実地、現在検査結果待ち。

 

現在も西洋薬と共に服用継続中であり、貧血の数値をみながら止血剤・補血剤に

ついては慎重に減量していき、補腎剤については再発を考え継続していく予定である。

 

【総評】

再発性の放射線膀胱炎の症例。

放射線の影響というのは数年後、数十年後と

身体に影響を及ぼすことがしられている。

これは老化してゆく中で細胞単位で生理機能が

弱まっていくことで放射線による影響が生じることが

分子生物学的にもわかっている。

 

今回の症例では20年以上前の放射線治療の影響が

80代になって副作用としてでてきており、上記の

ことを踏まえた上で処方を検討していくべきだろう。

 

漢方薬による補血・止血・補腎作用は奏功しており

服用5日と短期間で止血したことから著効といっていもいいだろう。

また、西洋薬としての止血剤との相乗効果によるものと考察することもできる。

 

養生法として

放射線治療を受けた場合は症状がなくても

継続的にその部位を労わり養っていかなければならない。

できれば、後々になって副作用が生じる前の「予防的段階」

で漢方薬を服用していくことが望ましい。

 

※放射線治療を否定しているわけではないのでご注意ください。

あくまで副作用としての膀胱炎に対する治療例になります。

放射線治療はその時の最善の治療手段であり、

放射線治療をしたからこそガンは完治しています。

しかし、その後の後遺症に苦しまれる方がいることもまた事実。

副作用に対する一つの治療例としてご紹介しています。

 

著者 一心堂薬局浦和店 渡邉翔

 

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